「ふるさと」誕生秘話《コスモスの里通信41》3/2■お知らせ

早いもので、もう卒業シーズンの弥生3月です。桃のつぼみも膨らみ、いよいよ本格的な春が近づいてきました。朝は春雨まじりでしたが、多くの利用者さんやボランティアのみなさんが駆けつけてきてくれました。
今日は2年ぶりの登場となります尾崎在住の北澤先生に、高野辰之の「ふるさと」誕生秘話をご自身の故郷の思い出とともに語っていただきました。誰も席を立つものがなく話に聞き入り、1時間が短く感じられるほどに見事なものでした。とても感動し勉強にもなりました。
先生のお話から。
私はウサギ年です。下校中の女の子に、おじさんの歳は12×7だよ。女の子は84歳とすぐに答えました。ウクライナから避難してきた人が、のど自慢に出て「ふるさと」を歌ってくれました。とても感動したので、高野辰之の「故郷」の話をしましょう。
「ふるさと」は、高野辰之作詞・岡野貞一作曲による文部省唱歌です。1914年に尋常小学校唱歌の第6学年用として発表されました。尾崎小学校の校長先生にお尋ねしたところ、100年経った今の教科書にも載っているとのことでした。
「ふるさと」の1番の歌詞は、過去のことを言っています。人間にとって過去はどうしようもないが、過去は変えられないが未来は変えられるんです。と私は言いたいです。「兎追ひし彼の山 小鮒釣りし彼の川 夢は今も巡りて 忘れ難き故郷」うさぎは美味しいと歌った子供がいましたが、本当に兎を食べたんですよ。兎は山を駆け上がるのは得意なのですが、下るのが大変苦手なんです。だから上から兎を追うと転げ落ちて楽に捕まえられるんです。
3番の歌詞は、「志を果たして いつの日にか帰らむ 山は青き故郷水は清き故郷=解説、自分の夢を叶えて目標を成就させたら、いつの日にか故郷へ帰ろう。山青く水清らかな故郷へ」。村一番の美人を嫁にして東京へ出ていくときに、嫁のお母さんから「大出世をして村に錦を飾るように」と、励まされたそうです。
みなさん、故郷というと何を思い出しますか。私はお母さんと青き山と、どんど焼きです。この高野の詩は1番が過去、2番が現在、3番が未来を見事に歌っていると思います。
また、望郷の詩句として名高い室生井犀星も「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」といっています。彼の故郷は金沢です。故郷に帰ると「女中っ子が帰ってきた」とさげすまれ、金沢駅のホームで20歳の時に歌ったとされています。東京で思うにまかせぬ暮らしを強いられ、懐かしい故郷に帰っても温かく受け入れてもらえない、その悲哀、郷里への愛憎半ばする思いが「遠きにありて・・・・・」の言葉となったとのことです。

まだまだ、たくさん聞きたかったのですが、時間が来てしまったので、来年度またと約して閉会となりました。
<参加者>外部講師1名、利用者8名、ボランティア14名の合計23名。

Follow me!